
大阪高速鉄道モノレール線とは、大阪府豊中市にある大阪空港駅から門真市の門真市駅までを結ぶ路線で、モノレールの営業距離としては日本最長を誇ります。
モノレールは跨座式(こざしき)と呼ばれ、走行桁にまたがるように車体が覆いかぶさり走行しているのが特徴。
跨座式モノレールは、懸垂式モノレール(車体が走行桁にぶら下がった形式)と比較して、軌道や軌道支持部の占有面積が小さいため用地買収にかかる費用が安く、結果的に建設費が抑えられるメリットがあります。
跨座式モノレールは、北九州都市モノレールや沖縄のゆいレールなど多くのモノレールに採用されて、今日も多くの乗客を乗せて活躍中。
このページでは人気の跨座式を採用する大阪高速鉄道大阪モノレール線についてまとめていますので、ぜひご覧ください。


<大阪高速鉄道大阪モノレール線が建設された背景>
大阪高速鉄道大阪モノレール線が開業したのは、千里中央駅から南茨木駅が開通した1990年6月。
千里中央駅に第一本目のPC軌道桁(モノレール走行用の桁)が架けられた1985年から、すでに5年の歳月が流れていました。
開業まで5年かかった大阪高速鉄道大阪モノレール線ですが、なぜこのようなモノレール線が建設されたのでしょうか?
開業するまでのプロセスについては、以下のような流れになっています。
・大阪の公共交通網は大阪市を中心とした一点集中型の放射状に開発され、都心部やターミナルエリアでは公共交通が過度に集中しすぎ、その恩恵を享受できない人たちとの二極化が問題になった
・一部地域の公共交通機関の過度な集中を解消するため、既存の鉄道と結合する環状鉄軌道整備が提案される
・大阪府で技術的問題や交通量など多角的に検討した結果、都市モノレールの建設を決定
・在阪私鉄等の協力をとりつけ、1980年に第3セクターである「大阪高速鉄道株式会社」設立
大阪モノレールの歴史は、大阪高速鉄道株式会社設立の1980年まで遡ることができます。
大阪市の特定地域だけに過度に集中する公共交通問題を解消するため、1990年6月に大阪モノレールが開通したのです。
<開設後の大阪モノレール>
1990年に千里中央駅から南茨木駅まで開業した大阪モノレールですが、1994年には柴原~千里中央(3.6km) 開業、1997年には大阪空港~柴原(3.1 km) と南茨木~門真市(7.9 km)開業、さらに1998年に彩都線・万博記念公園~阪大病院前(2.6 km)開業、2007年に彩都線・阪大病院前駅〜彩都西駅間開業と、破竹の勢いで路線を拡大していきました。
1998年12月には輸送人員1億人を突破し、2002年には開業以来初の計上黒字を達成し順調に事業が発展。
2016年には本社移転、2018年には輸送人員8億人を突破、新型車両3000系導入(3150編成)など、今も大阪モノレールの歴史は日々刻まれています。


<年々増える旅客数と旅客収入>
大阪モノレールが産声を上げた1990年、旅客数は年間約470万人、旅客収入は約8億2,900万円でした。
その後、数年で利用客や旅客収入はゆるやかに上昇していましたが、爆発的に乗客数や売り上げが伸びたのは1997年。
この年、大阪空港~柴原(3.1 km) と南茨木~門真市(7.9 km)が開業し、空港からの利用客が激増したのです。
1997年の旅客数は約2,148万5千人へ、そして旅客収入は45億9300万円へと開業時の5~6倍の増加となりました。
2018年の旅客数は年間4,900万人へ、旅客収入は106億9千万円と開業当時と比較してもかなりの飛躍です。
2002年には開業以来初の黒字を計上していますが、やはり路線拡大により乗客の利便性が大きく向上したことが影響しています。
<大阪モノレールの路線>
大阪モノレールは本線と彩都線の2つがあります。
本線は大阪空港(伊丹空港)から始まり、蛍池・柴原阪大前・少路・千里中央・山田・万博記念公園へと続きます。
万博記念公園で本線から彩都線が分かれ、彩都線は公園東口・阪大病院前・豊川と進み、彩都西駅が終点に。
本線は万博記念公園駅から宇野辺・南茨木・沢良宜・摂津・南摂津・大日まで進み、門真市で終点です。
大阪空港(伊丹線)から大阪市内に移動する方はモノレールを使うケースが多く、蛍池や千里中央駅から地阪急宝塚線、地下鉄御堂筋線などに乗り換え大阪市都心部へと向かいます。
<堅実な運営を続ける大阪モノレール>
大阪モノレールの「中期経営計画2020-2024」をチェックすると、毎年コンスタントに10~17億円の純利益を残していくためさまざまな計画が網羅されています。
以後開設しますが、大阪モノレールは門真市駅よりさらに南に8.9kmの延伸を予定しており、莫大な工事費用がかかります。
ところが、それら経費を差し引いても赤字になることなく、黒字を維持し続けられる計画を作成。
路線延伸以外にもバリアフリーのさらなる推進、可動式ホーム柵の全駅設置、エレベーターや電力施設などを最新設備へ更新する費用なども含まれており、かなり手堅い経営を行っているようです。
今後、門真市から南へ路線を延伸することにより、さらに大阪都心との複数の代替ルートを確保できる予定で、大阪市中心部だけではなく、生駒や奈良方面への移動も楽になります。


<幻に消えた北部延伸事業>
堅実な経営を続ける大阪モノレールですが、現状維持のままでは成長はありません。
そこで、2つの延伸計画が持ち上がりました。
そのうちの一つが北部延伸事業で、彩都線(国際文化公園都市モノレール線)の終点である彩都西駅から東センター駅への約2.2kmの延伸計画が国土交通省近畿運輸局に申請。
東センター駅周辺は、宅地開発がおこなわれており乗客数が見込めるとプランニングされていたのですが、採算性の問題から2017年1月に大阪府が延伸を断念する方針を示し、2019年1月11日に延伸事業が正式に廃止されました。
事業費277億円が見込まれていましたが、採算が合わない路線になった場合、投資した事業費に加えて赤字が発生するリスクもあります。
事業黒字を維持するため、不採算路線になりそうな延伸は断念したのです。
<門真市からの8.9km区間の延伸決定>
これとは逆に、2018年7月11日に申請されていた、門真市から南部に延伸する「門真市~瓜生堂(仮称)間8.9km」は国土交通省総合政策局運輸審議会審議室により認定。
2029年の開業を目指し、門真市から南への延伸事業が事業総額約286億円を投じて開始されることが決定しました。
支柱や軌道桁など、モノレール運行のためのインフラは大阪府が担い、総事業費は約740億円と見込まれます。
門真市から瓜生堂までの間には「門真南・鴻池新田・荒本(いずれも仮称)」駅が開設される予定で、門真市から4つの新駅と新路線が誕生する運びとなりました。
<門真市から南へ延伸するとどんな効果があるの?>
門真市から南へモノレール路線を延伸すると、大阪市内からの公共交通機関の接続が増え利便性が高まります。
・門真南駅には大阪メトロ長堀鶴見緑地線が接続
・鴻池新田駅にはJR学研都市線が接続
・荒本駅には大阪メトロ中央線が接続し、近鉄けいはんな線から生駒や奈良方面へ
・瓜生堂駅には近鉄奈良線が接続し、生駒や奈良方面へ
もちろん大阪市内の重要駅・本町・心斎橋・なんばへもスムーズに移動できるため、駅周辺部に住む方にとって利便性向上に役立ちます。
このような背景があり、大阪モノレールの南への延伸事業が認可されたのです。

大阪モノレールは、第三セクターによる官民足並みをそろえた事業として開始されましたが、多くの第三セクターが廃業に追い込まれるなか、大阪モノレールはしっかりした事業計画や大阪府からの支援、旅客の潜在的ニーズを上手に引き出すことで大いに躍進しました。
一定水準の利益が確保できると、守りの姿勢に入ることが多い企業のなか、地域インフラを担う企業の責任としてあらたな路線建設も決定しており、今後も大阪モノレールの発展が期待できそうです。
さらに大阪モノレールは、各種イベントや社員教育の徹底などのほかにも、車両部品落下防止対策、分岐橋耐震化、地震被災度推定システムの構築、点検困難箇所の対策など安全対策にもコストをかけており、安全やサービス向上の面でも十分に配慮しています。











