ただでさえややこしい相続税ですが、それが住居ではなく農地に対してだとなおさら難しいと、頭を抱えている人は少なくないと思います。
しかし農地の相続税は、一定の基準を満たせば納付を待ってもらえるという特例があります。
農地を相続した人や、農地を相続する予定がある人は、ぜひこの特例をチェックしましょう。
農地の相続税の「納税猶予」とは?
農地の納税猶予とは、相続した人が農業を続けることを前提に、相続税の納税を一部猶予または免除してくれるという制度です。
なぜこのような特例がもうけられているかというと、農地が少なくなっている日本では、今ある貴重な農地を、駐車場など農地以外に利用してほしくありません。
そこで、「農業を続けてくれるなら納税をオマケしますよ、だから相続した農地を売って駐車場やマンションなどにしないでくださいね」と定めているのです。
制度上は「納税の猶予」ですが、農業を続けている限りずっと猶予されるので、実質は払わなくても良いようなものなので、大きなメリットと言えるでしょう。
相続税の納税猶予が受けられる農地とは
相続税の納税猶予が受けられる農地には制限があります。
下記にあてはまる農地は納税猶予の対象になりますが、それ以外の農地は対象にならないのでご注意ください。
1)市街化調整区域の農地
市街化調整区域にある農地は、納税猶予の対象です。
2)市街地区域内の生産緑地
建物を建ててもいい地区にある「生産緑地」の指定を受けている農地も納税猶予の対象になります。
なお生産緑地とは、500㎡以上で農業を続けられるなどの条件を満たした、地方自治体によって指定された環境保全のための土地です。
生産緑地に指定されると、農地以外の使用が規制されます。
農地の相続税納税猶予を受けるときの注意点
メリットが大きい納税猶予ですが、下記のようにいくつか注意点もあるので、あらかじめチェックしておいてください。
1)3年ごとに農業を続けていると証明する「継続届出書」の提出が必要
「本当に農業をきちんと続けていますか?3年ごとに確認するので、しっかり書類を送ってくださいね」ということです。
2)農業をやめたり誰かに譲渡したりしたら、猶予された税額と利子税を納めなければいけない
「もし農業をやめたら、今まで待っていた納付をしてもらいますよ。だからやめないでくださいね!」ということです。
3)相続人が20年間農業を継続したとき(三大都市圏特定市以外の市街化区域内の農地(生産緑地を除く)も納税が免除される
「20年も農業を続けてもらったのなら、もう納税は免除しますよ。だからこれからも農業を続けてくださいね」ということですね。
まとめ
食料の源である農地は、日本国民にとって重要な土地です。
そのため、なるべく農地が農地以外にならないように、農業を続ける場合には相続税が一部猶予(実質的には免除)されます。
ただし、農業を続けることが絶対条件なので、20年以内に農業をやめたりする場合は、猶予された税金を払わなければならないなど、厳しい条件があります。
農地を相続する予定がある人は、その点を視野に入れながら専門家に相談することで、スムーズな相続ができるでしょう。
大阪府で農地の相続についてお悩みの方は、ハウスゲートまでぜひご相談ください。
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